添加一品#4 mimacul「さよならあかるい尾骶骨」
今夜は何を観ましょうか。
再生ボタンを押す前に、パパッと用意します。
お馴染みの一袋の袋麺に、ひとつかそこら追加して
少しだけ特別な一杯を。
(本作はコンビニで都合のできる商品に絞って構成しております)
フード・テキスト・写真:土谷朋子(citron works)
『それぞれの“白”の豚骨ラーメン』
mimacul「さよならあかるい尾骶骨」
“私の愛は濃い 深くはないけど濃い”
場面はするりと入れ替わる。
それでいて、登場する3人の女それぞれに対する男の顔つきは
同じ顔なのにやはりどこか違う。
男に触れる肌がそれぞれに違うように。
白い、柔らかい、それらは、汁の中にまざっていてもまざってはいない。
各々から差し出された白さが硬い麺を内包しながらどんどんと濃さを増していく、そんな白い一杯。
【材料】
・サッポロ一番炊き出し豚骨……1袋
・絹どうふ……ミニパック1個
・温泉卵……1個
・ねぎ塩豚たん……1パック(薄切りチャーシューなどでも)
・いかの塩辛……大さじ1程度
・小ねぎ(小口切り)……お好みの量
・ポテトサラダ……大さじ山盛り1程度(お好みで)
・柑橘類or酢……味変用
【作品概要】
作品名:mimacul「さよならあかるい尾骶骨」
作:小高知子
演出:増田美佳(mimacul)
上演年:2022
劇場:京都芸術センター
あらすじ:
失うことが進化だとすれば、僕たちはこれからもどんどん失うだろう。
どんどん失って、いつかすぽんと消えてしまう。
失ってゆく、というのはどういう感覚なんだろう。
失いつつあるそのさなか、ひとはなにを思うのだろう。
忘れることと失うことはいったいどのくらい違うのだろう。
僕は毎晩僕の尾骶骨に問いかける。
ちいさな骨が寄り添うように集まった、その名残の部分に問いかける——
ひとりの男とその妻、女、母。それぞれとのダイアローグによって紡がれる会話劇。
六畳間での会話から、我々がどうしようもなく生まれて、生きて、死んでいくことについて、普遍的な視座をもって描かれる。