LOVE
デザイン・スタイリング・撮影:土谷朋子(citron works)
タカコが盆踊りを見る目が忘れられない。
等々力の定食屋では何を食べていたのだろうか。なんとなく、ソース焼きそばとかチャチャッと出てきたりしそうな。
「盆踊り見てたら屋台気分になっちゃって」とかそんなような。
みそ汁は定食屋なのでマストです。普通のみそ汁。
タカコの目に見えるものってなんだったんだろう。
視界を切り取ることはできないから私たちは決して見ることはできないけれど
あの時、あの瞬間に見えていたものはあまりにもどぎつい色だったのではないかとさえ思うのだ。
もし、が叶うならば我に返ったタカコに見えるものはもう少し違ったものであったらいいよね。と思う。
作品名:ハイバイ『ある女』
脚本・演出:岩井秀人
上演年:2012
劇場:こまばアゴラ劇場 他
受賞歴:第57回岸田國士戯曲賞
©曳野若菜
あらすじ: 主人公のタカコ(28歳)は森と不倫をしている。森は2個セットで一つになるピンクレディのフィギュアなどを片方だけ用意し、もう片方は「お金を渡すから自分で買って」などと、タカコに現金を渡していた。
そこからやがて、森はタカコに現金のみを渡すようになる。金に見合うだけの価値があるのか、と悩んだタカコはセックス教室に通いはじめるが・・・
劇作家 岩井が不倫経験者への取材を元にして書いた、痛みと性が生々しく交差する傑作。物語の中、自我が揺らぎ始めたタカコはアパートの隣の部屋で営まれる定食屋を発見する。初老の男性、等々力と引きこもりの娘に出会い、やがて自分の体験を話すようになる。それが現実なのか幻想なのか、はたまた等々力が娘にそうあってほしいと願う願望なのか・・・
今回はそんな、存在するかもわからないアパートの一室にある、定食屋のメニュー。