LOVE
2021.02.18
康本 雅子(ダンサー/振付家)/横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]『スプートニクギルー』
この作品を 見たのは14年も前のことなので正直作品の詳細は忘れているが、 岡本真理子というダンサーの佇まいはすぐに思い浮かべる事ができる。
彼女の一挙一動を、正確に言うならば一挙一動が起こる前の瞬間の彼女の体内のさざめきのようなものを、息を潜めて見つめていた。
彼女のダンスを観る時はいつもそう。そこが大きな劇場であろうとも、ひとたび彼女が現れるとそこは彼女の完璧なプライベート空間となり、こちらの目は自然とクローズアップになる。
夜寝る前の読書の時間のような、静謐で緊張した時間が訪れる。
なんつーか、 地表から出てきた芽の部分だけがダンスなんじゃなく、土の中で芽を出す前の、蠢いてるムクムクしたそのものこそもダンスなんだと、彼女を見て思う。
そして願わくばそのムクムクに、我が身をシンクロさせたい。観察しながら自分の体内でも同じ衝動が起こっているかような錯覚に陥れること。これがダンスを味わう醍醐味だもの。
分野:舞踊
推薦者:康本 雅子(ダンサー/振付家)
作品名:横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]『スプートニクギルー』
撮影:塚田洋一