LOVE
2021.02.18

坂元 裕二(脚本家)/KERA MAP『修道女たち』

七人の女性たちの物語で、全員が同じ黒い修道服を着ていて、しかも全員がバスター・キートンのような白塗りのメイクをしているから顔の判別が出来ない。にも関わらず最初から最後まで登場人物全員ひとりひとりが誰なのかわかるし、それぞれの感情の動きを見逃すことが一度もなかった。そこに驚きました。その要因のひとつは声だとは思うのですが、それだけでもない気がしました。お芝居ってなんなんだろうって思いましたし、大袈裟に言うと人間ってなんなんだろうと思いました。日頃わたしたちは人間を個々の存在として見ようとしているわけですが、むしろそれを取っ払った方が個を掴めるんじゃないか。人は漂う波の一部として存在していて、ひとつふたつと数えられるものではないけど、それぞれに明確な輪郭を持って流れていく集合体。そんな考えに引き込まれる、少しぞっとする演出のお芝居でした。
 
分野:演劇
推薦者:坂元 裕二(脚本家)
作品名:KERA MAP『修行女たち』
 
写真提供:キューブ 撮影:引地信彦