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2025.10.01

【受講生募集】舞台芸術アーカイブ講座 2025~現場ですぐ役立つ、記録保存のスキル~

 

舞台芸術アーカイブ講座とは?

「記録」を「創造」へ
幕が下りた瞬間に消えてしまう演劇やダンス、パフォーマンスは、まるで「ドーナツホール」のように、中心にありながらそれ自体を保存することができません。

「舞台芸術アーカイブ」は、公演映像、戯曲、ポスターやフライヤー、チケット、衣装、舞台装置図、舞台写真、劇評など、関連する周辺資料をできる限り多く収集し厚みのある「ドーナツ」を形成することで、この継承困難な経験や知、舞台の記憶を浮かび上がらせる、創造的な活動です。
 
現場ですぐに活かせる知識とノウハウを
本講座は一般社団法人EPADが、早稲田大学演劇博物館が3年間に渡って実施した「ドーナツ・プロジェクト」(令和4年度~6年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」)で蒔かれた種を、より実践的で「すぐ役立つ」スキルとして育てていくことを目指して設計しました。私たちは、舞台芸術の創作・マネジメントなどに現場で日々格闘する実務者が、自らの活動や目的に即した形でアーカイブを構築・運用できるよう、すでに持っている記録をアーカイブの出発点と考えます。アーカイブを単なる「記録・保存」としてではなく、「拡大・創造」の手段として捉えながら、すぐに現場の活動で活かしていただけるよう、7つの講座を用意しました。
 

*チラシダウンロード(PDF)
 

講座概要

1.基礎:アーカイブの視点と言葉を知る
1-1.舞台芸術アーカイブのいま
講師:志村聖子(ライデン大学客員研究員)
舞台芸術の特性から記録保存の難しさ、アーカイブの多様性、公共性、そして活用への課題までを公共的な視点から幅広く学ぶ講義。
 
1-2.権利処理入門
講師:福井健策(弁護士・ニューヨーク州弁護士・骨董通り法律事務所代表、一般社団法人EPAD代表理事、日本舞台芸術ネットワーク常任理事)
著作権、著作隣接権、肖像権といった舞台芸術のアーカイブにおける権利処理の基礎知識を学ぶ講義。
 
1-3.おさえておきたい基礎知識
講師:本間友(慶應義塾ミュージアム・コモンズ準教授)
どんなアーカイヴを作るのか、記録を残しアーカイヴを構築する方法や整理を進めるための基礎知識を学ぶ講義。
 
2. 実践Ⅰ:現場で役立つ記録のスキル
2-1.公演記録のノウハウ~制作編~
講師:
坂本もも(範宙遊泳プロデューサー/ロロ制作)
須藤崇規(映像ディレクター)
公開を念頭に置いた公演映像を残すために、現場ではどのような準備ややりとりが行われているか。制作者と撮影者の立場から対談形式で掘り下げる。
 
2-2.プロセスの記録
講師:
河井朗(演出家)
本間友(慶應義塾ミュージアム・コモンズ準教授)
創作中に様々なポジションで生まれる記録物。それらはどのように創作に活かされ、保存されていくのか。演出家とアーキビストの立場から対談形式で掘り下げる。
 
3. 実践Ⅱ:未来に役立つ活用のスキル
3-1.公演記録のノウハウ~記録映像編~
講師:
山本卓卓(劇作家・演出家・俳優。範宙遊泳代表)
須藤崇規(映像ディレクター)
収録された映像はいかに編集されるか。公演映像が新たに創出する価値についてクリエイターと撮影者立場から対談形式で掘り下げる。
 
3-2.レッツ資料整理!
講師:
石本華江(慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ)
三坂恵美(EPAD事務局/Booster)
辻村優子(俳優)
公演メタデータのためのフォーマットを提供しながら、公演記録の保存・管理の仕方をデジタルとアナログの両方面から紹介する。
 

受講対象者

制作者・スタッフ・実演家・アーティストなど舞台芸術に携わっている方、劇場や文化施設の職員、 アートマネジメントを学ぶ学生、演劇部や自主団体の学生 等
 

受講方法

受講方法は、リアルタイム講座とオンデマンド視聴の2つの形式からお選びいただけます。
《リアルタイム講座》指定日時にオンライン受講
《オンデマンド講座》動画視聴
 
《リアルタイム講座》
オンライン上にリアルタイムで集まって受講する形です。
講座動画を視聴の後、講師への質疑応答タイムがあります。
受講時に講座の内容をまとめたハンドアウトを差し上げます。
全講座の視聴と最終講座後に送付されるアンケートへの回答をもって修了証を授与します。
 
申し込みフォーム:
一般(Peatix):https://donuts-course2025.peatix.com/
U25:https://forms.gle/fmt2Q2EQRYCzaMBw8
 
申込期間:
2025年10月24日(金)10:00~2025年12月7日(日)~23:59
 
参加方法:
お申し込み時にご入力いただいたメールアドレス宛に、受講リンクを送付いたします。
 
受講料(全7回):
一般 8,000円(税込) 
U25 5,000円(税込) 
※【U25】での受講は、リアルタイム講座1-1実施日(2025年12月15日 (月))に25歳以下の方が対象です(要身分証送付)。
※受講キャンセル、ならびにお支払いいただいた受講料の返金はお受けできません。
 
リアルタイム講座日程:
1.基礎:アーカイブの視点と言葉を知る
1-1 2025年12月15(月)19:00~20:30
1-2 2025年12月19日(金)19:00~20:30
1-3 2025年12月22日(月)19:00~20:30
 
2. 実践Ⅰ:現場で役立つ記録のスキル
2-1 2026年1月19日(月)19:00~20:30
2-2 2026年1月26日(月)19:00~20:30
 
3. 実践Ⅱ:未来に役立つ活用のスキル
3-1 2026年2月2日(月)19:00~20:30
3-2 2026年2月9日(月)19:00~20:30
※オンライン開催・講座は90分を予定
 
《オンデマンド講座》
講座を「1.基礎:アーカイブの視点と言葉を知る」「2. 実践Ⅰ:現場で役立つ記録のスキル」「3. 実践Ⅱ:未来に役立つ活用のスキル」のパッケージごとに配信します。
講座の内容をまとめたハンドアウトを差し上げます。
 
申込みフォーム(Confetti Streaming Theater):
https://confetti-web.com/@/donuts_course2025
 
動画視聴料:
各パッケージ 3,000円(税込) 
 
オンデマンド講座申込み期間:
1.基礎 2026年1月23日(金)10 :00〜
2.実践Ⅰ/3. 実践Ⅱ 2026年2月13日(金)10:00~
※視聴用ページ初回ログイン後、720時間まで視聴いただけます。
※配信期間が先に終わる場合はその前に視聴を終えてください。
 
オンデマンド講座申込み終了:
3月15日(日)23:59 予定
 

講師プロフィール

志村聖子(しむらせいこ)
ライデン大学人文学部地域研究所(LIAS)客員研究員

東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、九州大学大学院芸術工学府博士後期課程修了、博士(芸術工学)。政策研究大学院大学研究助手、相愛大学音楽学部准教授を経て、2025年度大阪公立大学大学院都市研究科客員准教授。2025年5月からライデン大学人文学部地域研究所(LIAS)客員研究員としてオランダに滞在中。著書に「舞台芸術マネジメント論—聴衆との共創を目指してー」(九州大学出版会)ほか。実演芸術や伝統芸能の担い手育成を理論と実践から考察し、舞台芸術の実践と文化支援の国際比較研究に取り組んでいる。
 

福井健策(ふくいけんさく)
弁護士・ニューヨーク州弁護士・骨董通り法律事務所代表、一般社団法人EPAD代表理事、日本舞台芸術ネットワーク常任理事

弁護士(日本・ニューヨーク州)/日本大学芸術学部・神戸大学大学院・iU・CAT客員教授
東京大学法学部卒。米国コロンビア大学法学修士。現在、骨董通り法律事務所 代表。「18歳の著作権入門」(ちくまプリマ―新書)、「ロボット・AIと法」(共著・有斐閣)、「エンタテインメント法実務」(編著・弘文堂)ほか。多くのコンテンツ企業・クリエイターの顧問、内閣府知財本部・文化庁ほか委員、デジタルアーカイブ学会・ELN理事、緊急事態舞台芸術ネットワーク常任理事、日本文学振興会評議員などを務める。
https://www.kottolaw.com Twitter: @fukuikensaku
 

本間友(ほんまゆう)
慶應義塾ミュージアム・コモンズ准教授

慶應義塾大学大学院(美学美術史学)修了後、同大学アート・センターにてアーカイヴの運営、展覧会の企画、地域連携プロジェクトの立案を行う。2018年より慶應義塾ミュージアム・コモンズの立ち上げと運営に携わる。現在アート・アーカイヴ、ドキュメンテーション、学術情報の文化イベントを通じたディストリビューションに焦点を当てた研究と実践を行っている。
 

須藤崇規(すどうたかき)
映像ディレクター

舞台芸術における記録映像ディレクションや舞台映像デザインを手がける。小劇場からホールまで規模の大小を問わず活動し、野外・ツアー型・体験型公演など多様な環境での作品への参加も多い。演出意図を丁寧に汲み取り、新しい鑑賞体験を創造している。記録映像上映会「ANTIQU」を企画・開催。
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒、同大学院修了。
合同会社小声代表。
 

坂本もも(さかもともも)
合同会社範宙遊泳代表・プロデューサー/ロロ制作

学生劇団から商業演劇まで幅広く制作助手や演出部などを経験したのち、ロロと範宙遊泳の劇団運営と公演制作を務める。
創造環境整備や育児と演劇の両立に関心を持ち創作に参加している。
特定非営利活動法人舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事。
一般社団法人緊急事態舞台芸術ネットワーク(JPASN)理事。
多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科非常勤講師。
 

撮影:manami tanaka
河井朗(かわいほがら)
演出家

1993年大阪生まれ。演出家。ルサンチカ主宰。マッチングアプリを用いた無作為インタビューを素材にした『PIPE DREAM』『GOOD WAR』や、三好十郎『殺意(ストリップショウ)』太田省吾『更地』サミュエル・ベケット『エンドゲーム』など、既成戯曲を「記録」として捉え、舞台上演の演出を行う。2024年梅田芸術劇場主催『刺青/TATTOOER』では東京・ロンドン公演を演出。
 

撮影:雨宮透貴
山本卓卓(やまもとすぐる)
作家・演出家・俳優。範宙遊泳代表

加速度的に倫理観が変貌する現代情報社会をビビッドに反映した劇世界を構築。
子どもと一緒に楽しめる「シリーズ おとなもこどもも」、青少年や福祉施設に向けたワークショップ事業など、幅広いレパートリーを持つ。
アジア諸国や北米での公演や国際共同制作、戯曲提供も多数
『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞。
公益財団法人セゾン文化財団フェロー(2015-2024)。
 

石本華江(いしもとかえ)
慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイヴ

02年より和栗由紀夫+好善社、03 年 より Co.山田うんをはじめ国内外にて数多くのカンパニーに出演する。ソロ作品も含め、アジアやヨーロッパを中心に 21 ケ国 で上演を行った。土方巽の作舞法「舞踏譜」を現在に伝えるため研究会 POHRCを日英米にて 11年に渡り主催し、また自身も講師として香港、インドネシア、メキシコなど 15 ケ国に招聘される。2020年より土方アーカイヴを担当し、デジタルアーキビストを取得。2024-25年、米国ホリンズ大学Dance M.F.A Summerプログラム講師。
 

撮影:Maho Morikuni
三坂恵美(みさかえみ)
EPAD事務局/Booster

福岡県出身。福岡市にて地域演劇支援や施設運営を行うNPO法人で常勤職員として勤務。その後、2014年に大阪へ拠点を移し、演劇映像配信プラットフォームの運営に携わる。2020年、「がんばるひとを後押しする」を理念に合同会社Boosterを設立。劇場制作や折込代行の運営を中心に事業を展開。2020年、2023年~2025年EPAD事務局に舞台公演映像収集業務に携わる。
 

撮影:濱田晋
辻村優子(つじむらゆうこ)
俳優

新国立劇場演劇研修所三期修了生。舞台を中心に活動。主な出演作に劇団朋友本公演『残の島』円盤に乗る派『仮想的な失調』など。「見ているだけで体がほぐれる演技」を「ほぐしばい」と命名して探究を続け、演技ともみほぐしの共通点をもとにした作品制作も行う。2022年に早稲田大学演劇博物館主催『ドーナツ・プロジェクト 連続講座』に出会い、自身の活動においてアーカイブの実践を始める。X:@tsujitsujiko
 
 
★予告★
 

舞台芸術アーカイブ講座イントロダクション(無料動画公開)

講座にさきがけて<舞台芸術アーカイブ>を様々な角度から語る!
EPAD Youtubeアカウントにて、順次公開。
https://www.youtube.com/@epad3711
 
①「私たちは如何にしてドーナツとアーカイブを愛するようになったか」前編・後編
出演:吉見俊哉(國學院大學教授・デジタルアーカイブ学会前会長)、太下義之(東京藝術大学客員教授)、福井健策(デジタルアーカイブ学会副会長・EPAD代表理事)
司会:岡室美奈子(早稲田大学教授)
 
②「なにを残す?誰に手渡す? 観客とつながる舞台の未来」
出演:坂本もも(範宙遊泳プロデューサー/ロロ制作)、滝口健(世田谷パブリックシアター)
 
③「創作活動とアーカイブ」(仮)
対談1:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(劇作家・演出家)、岡室美奈子(早稲田大学教授)
対談2:萩京子(オペラシアターこんにゃく座代表・音楽監督)、須藤崇規(映像ディレクター)
 

対面ワークショップ開催

2026年2月下旬・対面ワークショップ開催!
主に受講生の方を対象に、手を動かしながらアーカイブが学べるロールプレイングを実施予定。
(都内開催。情報は順次公開!)
 

お問い合わせ

舞台芸術アーカイブ講座 dounuts.info@epad.terrada.co.jp
 
「舞台芸術アーカイブ講座2025」スタッフ
監修:岡室美奈子(早稲田大学教授) 
トータルアドバイザー:須藤崇規
映像制作:合同会社小声
デザイン:三浦佑介
協力:STUDIOマドノソト、三五さやか、特定非営利活動法人 舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)
企画制作:EPAD事務局(辻村優子、矢内有紗、木下京子)
 
助成:文化庁 人材育成・収益化に向けた舞台芸術アーカイブ化推進支援事業
主催・運営:一般社団法人EPAD